ウェブシステム開発の話をしたので、その中で感じたことを追加で書いてみよう。
開発パートナー会社や他部署の関係者と新しいサイトに関する取り決めを話し合っていくとき、もれなく使うコミュニケーション補助ツールがある。Redmineというウェブシステムで、これは簡単に言うとインターネット掲示板の進化形である。
下記はデモ用のサイトであり、テーマごとにスレッド(掲示板の最小単位)が立てられている。掲示板の世界でスレッドと言っていたものが、Redmineではチケットと呼ばれる。
https://my.redmine.jp/demo/projects/demo/issues
(ちなみに掲示板スレッドとはこんな感じのものである)
http://ikura.2ch.net/expo/#1
並んでいるチケットのうち、「アップデート手順の改善」というものをクリックしてみよう。するとチケットの内容が表示される。
https://my.redmine.jp/demo/issues/2587
「説明」と書いてあるところがチケットのテーマである。決めるべきテーマを誰かがチケットとして提示し、提示された者が返信し、やりとりを繰り返すうちに決定事項がでてチケットのステータスが終了となる(※)。こういったやりとりはメールでも行うことができるが、時間がたってから一部を引用しやすいのがRedmineの特徴である。
例えば下記のURLをクリックすると、先ほどのテーマAに対する1つ目の返信がピックアップされる。これは「良いんじゃないでしょうか」と書いてある欄の右方にある「#1」のリンク先URLである。
https://my.redmine.jp/demo/issues/2587#note-1
同様に、2つ目の返信は次のURLで示される。
https://my.redmine.jp/demo/issues/2587#note-2
時間がたってから一部を引用しやすいというのは、上記のようなURLにより文章をピンポイントで指示できるということである。例えば、先のチケットにおける決定事項とそこに至る経緯を忘れた頃に、開発パートナーとやりとり(チャットなど)をしていてテーマAに関する情報を相手に示す必要に迫られたとしよう。この場合、テーマ名などのキーワードによりRedmineの中を検索し、まず先ほどのチケットを見つける。次にチケット上のやりとりを見て、相手に示したい情報が含まれている箇所を見つける。その右方にある「#数字」部分のリンク先URLを拾えば、あとはチャットにそれを打ち込むだけである。
もし初めにRedmineではなく電子メールでそのやりとりをしていたなら、引用部分をURLで指示することができない。何月何日のメールでやりとりをした件・・・と言うことはできるが、相手方にもそのメールが残っている保証はなく、残っていても相手がそれを検索する手間がかかる。チケットのケースでは、検索をしたのは一人だけである。またチャットの送信履歴にチケットのURLが残るため、よく引用する箇所は再検索しなくて済むようになっていく。
後で振り返るケースではなく、現在進行形のケースでも引用のしやすさは威力を発揮する。
開発パートナー会社との間で、結論が出ていないテーマが全てチケット上で議論されているとしよう。さっさと全ての結論を出すため、グループチャット(複数人で同時に行うチャット)によりバーチャル会議を行うことにする。そこへ、事前に準備したチケットのURLリストを打ち込む。「今日の議題はこれらです。まずチケット番号2587のNote2をご覧ください・・・」メールでやりとりをしていた場合、こんなことはできない。
「URLは偉大だ」ということをもう少し詳しく言えば、「指示できることと、指示先をすぐに参照できることは偉大だ」ということである。家族で一緒にみかんを食べていて、カゴの中の1つを指さして「これうまそうだね」と言うのと似ている。
「これ」の一言で特定のみかんを指示できるのは、状況(みんなが近くにいてみかんに注意を払える)と常識(指さした方向が厳密にはカゴを向いていたとしても、みかんを指しているのだろうと推測する)のおかげである。カッコ内の状況がなければ誰も返事できないし、カッコ内の常識がない場合の返事は「カゴがうまそうなわけないだろう」かもしれない。
「指示したつもり」だけだったら誰でもできるが、それが相手に伝わるには指示先をすぐに参照してもらう必要がある。また、指示対象を勘違いさせてはならない。そういう意味でURLは偉大であり、その価値を十分に引き出すRedmineに類するツール(一般的にはタスク管理システムという)はよく出来ている。コミュニケーションを重んじて仕事をするのであれば、指示にまつわる効率性をよく考えてみる必要がある。
※
チケットはそれ自体が属性を持つ。これが掲示板スレッドとの大きな違いである。
https://my.redmine.jp/demo/issues/2587
上記において、「ステータス」「優先度」「担当者」などと並んでいる項目がチケットの属性であり、Redmineでは任意の属性でチケット全体を検索することができる。メールでは基本的に全文検索を行うしかないので、関係ないメールもたくさん拾ってしまう。つまり検索効率単体で比べても、タスク管理システムはメールより優れている。
JSの設定
2012年9月8日土曜日
幸せな持続とは何か?
![]() 企画展「世界の終わりのものがたり~もはや逃れられない73の問い」 http://www.miraikan.jp/sekainoowari/outline 日本科学未来館で開催された企画展に行って、特に印象に残ったのが上の写真。 質問A:「なにを持続すれば、あなたは幸せですか?」 質問B:「持続可能」とは「今」を持続することでしょうか? と書いてある。 持続可能な社会という言葉は環境問題の文脈で使われる。なんかもう聞き慣れていて、持続可能と言った場合に「その対象が何か」なんて考えたこともなかったが、言われてみると簡単でない。 「◯はこれまで持続してきた」という時、◯に当てはまる言葉として僕がまず思い浮かぶのは「現代文明」である。他にはないだろうか?「人類の歴史」とかも考えられる。しかし、人類の歴史が続いても「この現代文明」が一挙に別の文明にリニューアルされるのは(少なくとも最高に)幸せな持続ではない。逆に質問Bのように「今」を持続するのが幸せだと言うのは、人間の願望として自然だ。ただ現実的に無理である。 そう考えていくと、幸せな持続とは「今の持続」より妥協できるが「人類史の持続」より妥協できないラインに存在するように思われる。例えば、同じような社会的生活を世襲的に繰り返していくようなイメージ。しかしながら、前の世代と後の世代が経験する社会的生活は、全く「同じよう」ではないのである。だから最低でも、「ゆっくりと変化する社会的生活を世襲的に繰り返す」イメージは許す必要がある。そんな中で持続しているものを見つければ、それが質問Aの答えだ。 ゆっくりとした変化を無数に繰り返すと、元の面影は跡形もなくなる。例えば特定の大人の顔と彼が幼児だったときの顔は全然違う。しかし彼の親は彼のことをずっと同じ名前で呼ぶし、彼が変化(成長)することを喜びさえする。この過程で持続しているのは、ある時点での子供の身体が、次の時点で僅かしか変化しないという意味における、物理的な構成である。 また「僅かな変化」はある程度、親の期待に添っていることが重要である。たとえ僅かな変化でも、妙な変化を繰り返して妙な大人に成長したら親は幸せではない。ゴール(成人後)のイメージが、「僅かな変化」が親の期待にどれほど添っているのか判断する材料になるだろう。つまり、元の面影が跡形もなくなるような長時間経過後のことも、幸せな持続に無関係ではないといえる。 一応の結論を出しておこう。何を持続すれば幸せか? それは自分にとって重要な全ての対象であり、それぞれに期待するゴール(その実像はぼやけているものの、期待しないゴールは明確に存在する)から逆算される、それぞれごとに特徴的な「変化」である。変化ですら持続対象であるということが、恐らく質問AとBが難解に感じられた理由であろう。 ※変化してもらっては困るものもある。自宅にあるノートPCなどは、ディスク上のデータ以外いかなる変化もしてほしくない。この場合は、たまたま期待するゴールが購入時と同じだったということである。 ※ゴールは1つの対象につき1つだけではない。例えば赤ん坊が育ったら2年くらいで言葉を覚えてほしいとかどんな小学生になってほしいとか、中間目標はいくらでも設定することができる。そのやり方によって、それぞれの変化の幸せ度が決まる。 |
2012年6月2日土曜日
意識の拡大率
拡大率。グーグルマップなどを使ったことがある人はすぐ分かるだろう。それが高いと視野が狭くなり、細かい部分がよく見えるようになる。逆に低いと視野が広くなり、細かい部分がよく見えなくなる。どちらが優れているという訳ではなく、その時々の目的に応じて使い分けるのが普通である。
人は何かを意識する時、拡大率と似たようなプロパティを持っている。本を読むという行為を例にとってこの拡大率を説明してみよう。特に速読技術のない人が、1冊の本の内容を素早くざっと捉えたいと思っているとする。目次を見る。この時点で意識の拡大率は低い。見た感じ、1章と2章で著者が言わんとしていることの意図は分かるから、興味のある3章から見てみよう。と思って3章に進み1文1文丁寧に読んでいった。この時点で拡大率は高い。
意識の拡大率が高くなったので、彼の視野は狭くなって本来の目的を見失っている。丁寧に読み進めていき興味のある箇所は通り過ぎたのに、結局3章は全て読破してしまった。この本は面白くないなぁと思って読むのをやめた。
彼はもともと、内容を全て詳細に読み込むつもりはなかったのだ。全体概要を掴みたかったのにその目的が全く達成できなかったのは、興味のある箇所を通り過ぎたところで拡大率の再変更を行わなかったからである。一旦目次に戻り3章以降の興味ある章を再度探しその章を読み満足したところでまた目次に戻り・・・ということを繰り返していれば、とりあえず興味のある部分は全て読めただろう。
グーグルマップの拡大率は縦方向のバーによって表示されているが、意識の拡大率は自分で認識するよりない。自分が作業対象についての興味を失っていることに「素早く」気づき、その時点で拡大率を一挙に引き下げるのが重要である。素早く気づく体質になるための訓練としては、作業中に一定の時間間隔で「自分は今それについて興味を持っているか?」と問うてみるのが有効かもしれない。問われれば答えられるだろう。※
やるべきことはたくさんあるので、締め切りなどの与えられた順番ばかり気にして効率を落とすことは避けたいものだ。興味のない事柄Aが大事そうに見えたら、その周辺で興味のある事柄B,Cを探してみよう。BやCを経験したあとAを再度見て興味が湧いたら取り掛かれば良いし、それでも湧かなければ「大事そうに見えた」のは気のせいだったのだ。世界には、自分と関わりを持てないものはどうしたってある。
※問われれば答えられる・・・このエントリーでは車の運転に関連して、認知より判断のほうが容易であることを述べている。
人は何かを意識する時、拡大率と似たようなプロパティを持っている。本を読むという行為を例にとってこの拡大率を説明してみよう。特に速読技術のない人が、1冊の本の内容を素早くざっと捉えたいと思っているとする。目次を見る。この時点で意識の拡大率は低い。見た感じ、1章と2章で著者が言わんとしていることの意図は分かるから、興味のある3章から見てみよう。と思って3章に進み1文1文丁寧に読んでいった。この時点で拡大率は高い。
意識の拡大率が高くなったので、彼の視野は狭くなって本来の目的を見失っている。丁寧に読み進めていき興味のある箇所は通り過ぎたのに、結局3章は全て読破してしまった。この本は面白くないなぁと思って読むのをやめた。
彼はもともと、内容を全て詳細に読み込むつもりはなかったのだ。全体概要を掴みたかったのにその目的が全く達成できなかったのは、興味のある箇所を通り過ぎたところで拡大率の再変更を行わなかったからである。一旦目次に戻り3章以降の興味ある章を再度探しその章を読み満足したところでまた目次に戻り・・・ということを繰り返していれば、とりあえず興味のある部分は全て読めただろう。
グーグルマップの拡大率は縦方向のバーによって表示されているが、意識の拡大率は自分で認識するよりない。自分が作業対象についての興味を失っていることに「素早く」気づき、その時点で拡大率を一挙に引き下げるのが重要である。素早く気づく体質になるための訓練としては、作業中に一定の時間間隔で「自分は今それについて興味を持っているか?」と問うてみるのが有効かもしれない。問われれば答えられるだろう。※
やるべきことはたくさんあるので、締め切りなどの与えられた順番ばかり気にして効率を落とすことは避けたいものだ。興味のない事柄Aが大事そうに見えたら、その周辺で興味のある事柄B,Cを探してみよう。BやCを経験したあとAを再度見て興味が湧いたら取り掛かれば良いし、それでも湧かなければ「大事そうに見えた」のは気のせいだったのだ。世界には、自分と関わりを持てないものはどうしたってある。
※問われれば答えられる・・・このエントリーでは車の運転に関連して、認知より判断のほうが容易であることを述べている。
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