JSの設定

2012年12月7日金曜日

URLは偉大だ

ウェブシステム開発の話をしたので、その中で感じたことを追加で書いてみよう。
開発パートナー会社や他部署の関係者と新しいサイトに関する取り決めを話し合っていくとき、もれなく使うコミュニケーション補助ツールがある。Redmineというウェブシステムで、これは簡単に言うとインターネット掲示板の進化形である。

下記はデモ用のサイトであり、テーマごとにスレッド(掲示板の最小単位)が立てられている。掲示板の世界でスレッドと言っていたものが、Redmineではチケットと呼ばれる。
https://my.redmine.jp/demo/projects/demo/issues

(ちなみに掲示板スレッドとはこんな感じのものである)
http://ikura.2ch.net/expo/#1

並んでいるチケットのうち、「アップデート手順の改善」というものをクリックしてみよう。するとチケットの内容が表示される。
https://my.redmine.jp/demo/issues/2587

「説明」と書いてあるところがチケットのテーマである。決めるべきテーマを誰かがチケットとして提示し、提示された者が返信し、やりとりを繰り返すうちに決定事項がでてチケットのステータスが終了となる(※)。こういったやりとりはメールでも行うことができるが、時間がたってから一部を引用しやすいのがRedmineの特徴である。

例えば下記のURLをクリックすると、先ほどのテーマAに対する1つ目の返信がピックアップされる。これは「良いんじゃないでしょうか」と書いてある欄の右方にある「#1」のリンク先URLである。
https://my.redmine.jp/demo/issues/2587#note-1
同様に、2つ目の返信は次のURLで示される。
https://my.redmine.jp/demo/issues/2587#note-2

時間がたってから一部を引用しやすいというのは、上記のようなURLにより文章をピンポイントで指示できるということである。例えば、先のチケットにおける決定事項とそこに至る経緯を忘れた頃に、開発パートナーとやりとり(チャットなど)をしていてテーマAに関する情報を相手に示す必要に迫られたとしよう。この場合、テーマ名などのキーワードによりRedmineの中を検索し、まず先ほどのチケットを見つける。次にチケット上のやりとりを見て、相手に示したい情報が含まれている箇所を見つける。その右方にある「#数字」部分のリンク先URLを拾えば、あとはチャットにそれを打ち込むだけである。

もし初めにRedmineではなく電子メールでそのやりとりをしていたなら、引用部分をURLで指示することができない。何月何日のメールでやりとりをした件・・・と言うことはできるが、相手方にもそのメールが残っている保証はなく、残っていても相手がそれを検索する手間がかかる。チケットのケースでは、検索をしたのは一人だけである。またチャットの送信履歴にチケットのURLが残るため、よく引用する箇所は再検索しなくて済むようになっていく。

後で振り返るケースではなく、現在進行形のケースでも引用のしやすさは威力を発揮する。
開発パートナー会社との間で、結論が出ていないテーマが全てチケット上で議論されているとしよう。さっさと全ての結論を出すため、グループチャット(複数人で同時に行うチャット)によりバーチャル会議を行うことにする。そこへ、事前に準備したチケットのURLリストを打ち込む。「今日の議題はこれらです。まずチケット番号2587のNote2をご覧ください・・・」メールでやりとりをしていた場合、こんなことはできない。

「URLは偉大だ」ということをもう少し詳しく言えば、「指示できることと、指示先をすぐに参照できることは偉大だ」ということである。家族で一緒にみかんを食べていて、カゴの中の1つを指さして「これうまそうだね」と言うのと似ている。

「これ」の一言で特定のみかんを指示できるのは、状況(みんなが近くにいてみかんに注意を払える)と常識(指さした方向が厳密にはカゴを向いていたとしても、みかんを指しているのだろうと推測する)のおかげである。カッコ内の状況がなければ誰も返事できないし、カッコ内の常識がない場合の返事は「カゴがうまそうなわけないだろう」かもしれない。

「指示したつもり」だけだったら誰でもできるが、それが相手に伝わるには指示先をすぐに参照してもらう必要がある。また、指示対象を勘違いさせてはならない。そういう意味でURLは偉大であり、その価値を十分に引き出すRedmineに類するツール(一般的にはタスク管理システムという)はよく出来ている。コミュニケーションを重んじて仕事をするのであれば、指示にまつわる効率性をよく考えてみる必要がある。


チケットはそれ自体が属性を持つ。これが掲示板スレッドとの大きな違いである。
https://my.redmine.jp/demo/issues/2587
上記において、「ステータス」「優先度」「担当者」などと並んでいる項目がチケットの属性であり、Redmineでは任意の属性でチケット全体を検索することができる。メールでは基本的に全文検索を行うしかないので、関係ないメールもたくさん拾ってしまう。つまり検索効率単体で比べても、タスク管理システムはメールより優れている。