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2011年2月12日土曜日

会社は従業員に対しても社会貢献をする責任がある

よその会社の話だけども、知人の上司が脳梗塞で倒れたらしい。
容易に想像できるが、血圧が高くて太っていたという。
その人の食生活はよく知らない。だから不摂生がたたったのか元々そういう体質だったのかも分からない。
とはいえ、もし自分に部下がいてその子が会社で変な時間におやつなどモリモリ食べているようなら、
多少は干渉しようかなぁと思う。会社での人間関係が少しも家族化してはいけないってことはないだろうから。

会社にとって、従業員が健康に気をつけてくれるのは非常に有り難いことのはずだ。
健康に気をつけることが可能な時間は、プライベートの時間だけではなく業務時間も含まれる。適切な気分転換、適切な姿勢と姿勢転換、エレベーターの代わりに歩く、残業を減らして夕食の時間が遅くなりすぎないようにする、等々。
でもその努力が有難がられることは、実際にはあまりない。それどころか、会社によっては残業が少ない人に対してもっと残業させようとしたり、気分転換や姿勢転換をサボりと見なすことさえあるだろう。

それが蔓延することによって会社中が気分転換だらけになったら困るというのは確かにある。でもそれなら、気分転換をどれくらい許すかによってチームの雰囲気や達成タスク量がどう変わるか、それぞれの管理職が見ればいい。
残業のほうは、それが個人の活力につながって達成タスク量が増える場合もあるだろうが(例えばプログラミングがノッてきて面白くて仕方ない場合とか)、人によっては2・3時間やる程度ではほぼ増えない場合もあるだろう。

例えばこういうことだ。持久走をするときランナーは、何km走るか決めてから走る。なるべく早く走ろうとする人Aもいるし、ゆっくり走る人Bもいる。この持久走を取り仕切る先生が、Aにだけ150%のノルマを課したとしよう。この意図は、AとBが走り終わる時刻を近づけることである。この時Aは2種類に分かれる。ノルマが増えてもなお全力で走ろうとする人A1と、自分の体力を考慮して初めからペースを落とすA2である。

※どの程度ペースを落とす必要があるかは個人の体力による。A2の場合、普段の1/2としておこう。

A1は(体力があれば)先生の意図通りBとほぼ同時刻にゴールする。A2はペースを半分に落とした結果、大幅に遅れてゴールする。というわけで、A2に追加ノルマを課した先生の意図は失敗している。そのうえ単位時間あたりの走破量も落ちている。

一日の初めに「今日は2・3時間残業しよう」と決めることは、持久走の追加ノルマに相当する。
そう決めた人がA2タイプであれば、単位時間あたりの走破量すなわち効率が落ちることにより、タスク達成量は何時間か残業したあとにやっと(残業なしの日より)多くなり始める。仮にその時刻が21時だとして、22時まで働くと(落ちた効率)×1時間分のタスクを余分にこなせることになる。

一方、夕食の時間が遅くなったり自由時間が少なくなったりすることで健康とモチベーションの両面で悪影響が予想される。さて、余分にこなせるようになったタスク量はこの悪影響に見合うか?ましてや、長い会社生活の中で150%ノルマを続けていった時、効率の低下幅がずっと同じで済む保証はない。

ストレスが過食につながりやすい人だっているのだ。その因果関係を疑ってもみないで、ストレスを低減できる働き方を部下に提案してあげもせず、ある日病気になったら運が悪かったね、ひどい時には自業自得だなどと言う、僕は幸いそういう上司は見たことはないが、もしいるとしたらいかがなものかと思う。

相談にのるのはまだ良いほうだが、グチを聞いているだけなら無能の範疇を出ない。忙しいのは分かるので一人一人に丁寧に働きかけろとは言わないが、自分で健康やモチベーション管理をするよう奨励し、すでに実践している人は評価するべきだ。自分のチームの業績だけを気にするあまりつい業務偏重な命令をしてしまったとする。部下からそれを指摘されたら、ハッと気づいて訂正する。指摘しやすい空気を作る。管理職自ら実践する。こういった文化に理解のない、さらに上の偉い人から部下を守る。どれもそんなに面倒くさいことじゃない。

追記1:
A1がA2より評価されるのは仕方のないところ。しかし上司はA2を認めなければならない。
また、A1は150%のノルマなら全力で走れるが、これが200%とか300%とかどんどん増えても全力で走ろうとするなら危険である。自分の体力を考慮しない未熟さを上司が黙認すると、最悪の場合は過労死ということになる。

追記2:
ある意味、残業は会議と似たところがある。残業をたくさんしていれば、自分は精一杯のことをしていると思って安心するからだ。しかし特に社外とのやりとりが多い業務形態の場合、営業時間内の応答頻度と質を高めることが重要になる(正しい問題の立て方、正しい内容の応答をすることによって、プロジェクト完了までに必要な総コミュニケーション量が減らせる)。

十分な対話をこなさないまま営業時間外に突入したら、作業系の業務はどうにかなっても外部コミュニケーション系の業務は置いてきぼりだ。そして往々にして、プロジェクトが遅れる原因はコミュニケーションのまずさにある。残業には残業代というインセンティブがあるが、対話を円滑に進めることについてはそれほど強力なものがない。
だからこそせめて管理職は、下っ端の人間と一緒になって残業神話を崇拝していてはいけないと考える。