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2010年7月16日金曜日

同一局面に至る手順の違いで勝率が変わる?

yamajunn21さんのtwitterから引用:

週刊将棋の記事をみて思ったのだが、▲7六歩△3四歩▲2六歩より▲2六歩△3四歩▲7六歩の進行の方が先手勝率が高いって面白すぎる。同一局面なのだから、局面の問題でなく、その手順を選ぶ棋士の問題。
.@spinel3 ▲7六歩△3四歩▲2六歩(手順1)の先手勝率0.505で、▲2六歩△3四歩▲7六歩(手順2)の先手勝率は0.599で約1割違うとのことです。本当に面白いですよねえ。


うーん不思議だ。何でそうなるのか、ちょっと考えてみよう。
対局数としては▲7六歩△3四歩▲2六歩のほうが多いだろうから公平な比較はできないが、仮に居飛車党の先手にとって▲2六歩△3四歩▲7六歩の手順が有力であるとすれば、初手26歩に対する84歩は望むところ(少なくとも、初手76歩に対する84歩よりはウェルカム)なのだろう。

※後手が振り飛車党の場合は初手がどうだろうと2手目はだいたい34歩なのだから先手は手順を工夫する必要はない。なにしろ先手は3手目に25歩とするつもりがないのだから。

よって、26歩・84歩の出だしと76歩・84歩の出だしの先手勝率を比べて前者が高いようなら
「▲7六歩△3四歩▲2六歩の局面(局面A)を目指すなら初手は26歩とすべき」ということになる。

では、仮にそういう理由で手順2を経て局面Aに至るのが有力であるとして、手順1経由より勝率が高いもっともな理由がありうるとしたら、それは何か?

結論からいうと、yamajunnさんの言うように「同一局面なのだから、局面の問題でなくその手順を選ぶ棋士の問題」であろうと考えている。つまり、手順1が伝統的な出だしであるのに対して手順2は明らかに意図的なので、それを採用するには上の議論で述べたような「何か特別な理由」が必要である。多くの棋士を集めて何回も対戦させたら手順1と2が誰の棋譜にも均等に現れるというものではない。

「何か特別な理由」を持っている特定少数の棋士だけが手順2を選ぶのであり、それはやはり意識が高い棋士のなせる技だと思われる。